(それは見覚えのある一冊の本…)




(あなたの大切にしていた、暖炉で焼かれたはずのあの本だった)

(差し出された本を受け取ると、手に取った感触も重さも、両親の遺したあの本とまったく同じものだということに気付く)


「こ、これ…!どうして…!」


(驚いてローブの男を見上げると、少し困ったような表情で頬を掻いた)


あー…その、何て言えばいいのか…

……。



…そうだ、ちょっとこっちに来い。


(そう言って彼はあなたの手を掴み、静かにある部屋へと向かう)

(迷うことなく向かった先は、先ほどまであなたが眠っていた暗い自室だった)





H魔法使い12