(屋敷の中を探索していると、どこからか見られているような…視線を感じるような気がしてきた)
(それも一つではない、複数だ)
(物音だって先ほどは自分の足音しか聞こえなかったはずなのに、今では小さなカタカタとした音や何かを引きずるような音、そしてヒソヒソとした声のようなものまで少し離れた場所から聞こえてくる)
(何度も振り返っているがそこに人や動物はいない…が、自分が動くとその物音も聞こえ、止まると聞こえなくなる)
(まるでつけられているように背後からずっと聞こえてくるのだ)
(逃げるように早足で進んでいくと、ガラス張りの扉を見つけた)
(そっとその扉をガラス越しに覗くと、中はどうやら中庭になっているようだ)
(急いで中庭へ駆け出しガラス張りの扉を閉じると、今度こそ足音以外の謎の音は聞こえなくなった)
(ちらついていた雪がうっすらと地面に積もり始めている…日が昇ったらすぐにこの屋敷を出よう…)
(でも屋敷の中に戻るのは不気味で怖いし…)
(そんなことを考えていると、中庭にある赤いものが目に付いた)
(…真っ赤なバラだ)
(この寒いのに、まるでそれを感じさせないかのようにたくさんのバラが強く見事に咲き誇っている)
(そうだ…このバラ、おじいちゃんのお土産にしよう)
(少しでも気を紛らわせようと祖父のことを思い出す)
「一輪いただきます…。」
(雪を踏みしめそのバラに近づき、棘の少ない茎の部分を摘んでそれを手折った)
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名前:アーサー・カークランド
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友情の証に謎の食べ物を貰う
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