○○が自宅へ帰っていったあと、俺はブーケを持って○○の眠る場所へと赴いた。
夕方ということもあり周りには誰もいない。それをいいことに、花を供えてその場にしゃがみ込んでは墓に向かって一人話しかける。
「○○、今日は○○に○○のウェディングドレスを貸してやったんだ。すごく喜んでたよ。」
「…○○とは結局、結婚式を挙げることはできなかったよな…。あのあと子供が出来たり忙しくなっちまったり…色んなことが重なってさ…。今でもすごく後悔してるよ、○○と式を挙げられなかったこと…。」
「なぁ、○○。俺はちゃんと○○を幸せにできたか?せっかくドレスを買ったのに、ちゃんと着せてやれなかった俺なんかと一緒になって、幸せだったか…?」
「…そうだ、式のブーケを俺が作ることになったんだ。○○はどんな花がいいと思う?やっぱり王道の薔薇かな、百合もいいよな、斬新にカスミソウのブーケもいいかもしれない。それとも○○が好きだった花がいいかな…。」
…返事の返ってくることない墓石に向かって延々と語りかけていると、日が暮れてきたことに気付いた。
そろそろ帰るか…これ以上ここに居たら不審者として通報されるかもしれねぇ、笑いないな。
重い腰を上げると、雨が近いのか湿った風が頬を撫でた。
静かにため息を吐き、またな、と小さく呟き墓場に背を向ける。
…ふと後ろを振り返ると、そよそよと薔薇の花びらが風で揺れていた。
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名前:アーサー・カークランド
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