やばい、また涙が零れそうだ。
袖でごしごしと目を擦ったり、涙が零れないように空を見上げて何とか涙を堪え、摘み取った薔薇を束ねていく。
軽く茎の長さを揃えていると、ガーデンエプロンに突っ込んでいた携帯電話から着信音が聞こえてきた。
電話で出ると、小さなスピーカーから愛する孫娘、○○の声が聞こえてきた。
「こんにちは、おじいちゃん。今日はそっちに行ってもいい?ちょっと相談に乗ってほしいことがあって…。」
「ああ、構わないぞ。いつでもおいで。」
「ありがとう!スコーン持って行くね!」
「気をつけて来いよ。」
そんな会話をして電話は切れた。
どうやらスコーンを持ってきてくれるらしい…何年か前に「○○の焼いてくれたスコーンはおばあちゃんの作ったスコーンに似ている」と○○に話したことがあったせいなのか、その日以来俺のためによくスコーンを作ってくれるようになった。
ありがたいことはありがたいのだが、俺は○○の思い出に触れるたびに涙しそうになってしまう。
だから可愛い孫の前で、スコーンを食べつつ涙を堪えるのがとてもつらいところなのだ。
孫の前で泣くなんて、情けないことこの上ないだろ?
束ねた薔薇を一旦花瓶に入れ、俺は○○のために紅茶の準備を始めることにした。
そうだ、結婚式で使うブーケの話もしてみよう。
○○に似合う美しいブーケを用意してやりたいな…。
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名前:アーサー・カークランド
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友情の証に謎の食べ物を貰う
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