私は孫から深刻な相談をされた。

最近、自宅の老いた犬が誰もいない玄関に向かってけたたましく吠えるというのだ。

私が孫の家に挨拶に行った時も、私を見ても全く吠えなかった人なつっこいあの犬が突然ものすごい剣幕で吠えるのだという、しかも時間を問わず。

不安がる孫が霊を引き寄せやすい体質だったことを思い出し、私は英国生まれで霊感の強いAさんに相談する事をすすめた。
ファミレスで3人で食事をしながら事の話をするとAさんは
「大丈夫、その犬は帰ってきた先祖に挨拶してるんだよ、この時期だし」とのこと。
すっかり安心した孫を送り返すと、Aさんから連絡が…。
「彼女の言っていた事だが、確認したい事がある。あの子の家の前まで案内してくれ。」

深夜2時、孫の家の前に行くと確かに駐車場に繋がれた犬が吠えている。
「やはりな・・・」
そう呟いてAさんは彼女の家の向かいにある電柱に手を添えた。
するとそこからスッと青白い光が走り。
幾つもの亡者が彼女の家を通り抜けようとしているのが見える。
しかし犬の抵抗に遭い、上手く通り抜けられない模様。

「大した犬だ…ずっと家を守っていたのか。」
そういいながら犬の頭を撫でるAさん。
「破っ」
Aさんの声と共に道は家を避け天に伸び、虹のように遠くの空に伸びていった…。

「何故孫に嘘をついたんですか?」の問いに
「他人の孫とはいえ、可愛い子を無駄に恐がらせるのは紳士の仕事じゃないぜ…。」

英国生まれはスゴイ、私は久しぶりにそう思った。

…数日後、孫の家の犬が老衰で亡くなったと聞いた。
悲しみにくれる孫を励ましてやると「ワン!」と元気なあの犬の声が聞こえた気がした。
きっと犬はまだ家族を守っているんだな…。
線香をあげながら私は思った。

家族を見守る犬はスゴイ、私はその夜ちょっと泣いた。


名前:アーサー・カークランド
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