(結局一睡もできず、あなたは船のデッキの上で朝を迎えた)
(網に捕らわれたままデッキの隅で丸くなっていると、日の光が直にあなたの体を照らしていく)
(ずっと海の中に居なかったせいか、体が乾燥してくらくらする…)
(あれからこの船は南に航行し続け、あっという間にあなたの居た海域から離れてしまった)
(もしここから逃れたとしても、泳いで戻るのは難しいだろう)
(私はこのまま死んでしまうんだろうか…。)
(体が乾き、涙すら零れない)
(弱っていく体と頭でぼんやりとそんなことを考えていると、船員の男たちが次々とデッキへやってきた)
(きっと捕らわれ、まるで見世物となってしまったあなたを見に来たのだろう)
「本物の人魚なんて初めて見るな!」
「キャプテン、こいつです!」
(男たちの声が聞こえ、視線だけそちらに向けると、目の前に革張りのブーツを履いた足が見える)
(視線を上げるとそこには、潮風で傷んだ金色の髪に、晴れ渡った海のような緑色の瞳を持った若い男が立っていた)
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名前:アーサー・カークランド
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