憧「真夜中まで勉強していたあたしは夜食として軽い物を買ってこようと思い、コンビニまで行こうと外に出た。
真っ暗…かなり勉強してたなぁ……
その時、正面に女の人が立っていた
その女はこちらをじっと見つめている…。

深夜で街灯の明かりだけなのに女のカオはハッキリ見えた。
一部分を除いて…それは…目。

両の眼だけは、まるでコールタールを塗った様に真っ黒だった。
女はニヤリと笑い、再びこういった

「オモチ」…。

女はそう言い、ニヤニヤしながらあたしに近づいてくる。

「そこまでだ」
聞いたことのある声、山生まれで夜目の効くSさんだ

Sさんはあたしの手を引き、すこし後ろに下がると、女のカオに両手を突き出し
「破ぁ!!」と叫んだ
するとSさんのジャージから雑誌のようなものが飛びだし、女はそれを拾いに行った。
女の姿はみるみる小さくなっていき、やがていなくなった。

「どうしてこんな時間にあんたが?」
「コンビニにバナナを買いに行こうと思ったら憧がいたからさ、さっ、一緒に行こう?」
そう言ってあたしの手を引っ張り駆けだすS。
山生まれってすごい…その時改めてそう思った。」
山育ちのSさん