その時提督は決意した。
―もう、絶対に誰も沈めさせない。この痛みを抱えて前に進むしかない。
北上を失った衝撃は大きい。艦娘の轟沈というのはそれほどまでに精神的打撃を受けるのだ。
だが、提督が信じている話が一つある。沈んだ艦娘はどこかの海域で生まれ変わるというものだ。もちろん根拠などはなく、ただの噂でしかない。
だが、そんな噂に縋り付きたい。願うならば、北上にもう一度会いたい。そんな一心だ。
―待っていろよ北上、お前を沈めた奴らを沈めてからきっとお前を迎えに行く。
復讐の炎に身を燃やしながら、傷ついた艦娘を治しながら戦力を増強してゆく。そして新たに艦娘を建造し、金剛がうちの基地にやってきた。あとは全員を治すだけ。戦力が整い次第、あの海域に向けて出撃するつもりだ。
提督は学んだ、引き際を見誤らないこと、そして何より大切なのは艦娘であること。一度犯した過ちは必ず贖う。そして敵にも身を持って償わせる。こうして復讐戦と北上を見つける旅は始まった。
後書き