俺は早苗の手を引っ張り、他の人間、特に男の視線が早苗に被らないような立ち回りを演じつつ目的の品が売っている場所へと移動する。その一連の仕種が早苗の目にどう映ったのかは分からないが、早苗は「くすっ」と微笑んで、抵抗する事なく俺に引っ張られている。

 俺、なんか面白い事したか?
 自分でも分からない。でも、分からないはずなのに急に俺の顔が赤くなっていく。何が何だか分からない。一体俺はどうしたんだ。本当に謎だらけだ。もどかしいまま、俺と早苗は玩具売り場、それもバッジのコーナーにたどり着いた。

 「あなたってバッジ集めが趣味だったんですか?」

 そんなはずないだろ、と俺は早苗に笑いかける。早苗もそれに答えるように、微笑んだ。俺が早苗に買ってあげようとしていたのは、バッジだった。

 「ふふっ、さっきのは冗談ですよっ。で、欲しい物って何ですか?」

 これ、と俺は指をとある物に指した。

 それは
荒姫pr8