「お店に行くんですか?何の?」
何の?という問いを無視する俺。俺としてはデートする時、彼女にプレゼントをあげたいのだ。つまり今から向かう先は、そのプレゼントを売っている場所。
とはいえ、本音を言うと今は金欠でデートにでかける事ができた事自体、奇跡が起きてるようなもんだ。そんなに高価な物は買えない。だが、既に何を買ってあげようかは決めている。目指すは次の交差点を曲がって左にある、大きな雑貨屋。
「ここ、雑貨屋ですよ?…え、買いたいものがある?」
いいからいいから、と早苗の手を引いて雑貨屋に連れ込む。そしてその入店直後、いらっしゃいませという声と共に俺はうっ、と一瞬立ち止まった。既にいる数名の客が俺たちに視線を集中させる…いや、正確には俺たちじゃなくて、この人たちのお目当ては早苗か……。
気を取り直して