「……あっ、あそこの近くにお蕎麦屋さんができたんですよっ。えへへ、私ちょっとチャレンジしてみたいんですけど…ダメですか?」
驚いたことに、早苗が食べたい物を言ってきた。そして俺は、その店を知っている。ちなみに味は――まあ、100歩譲って普通。
「ねっ、早く行きませんか?私もお腹減ってきちゃった」
早苗が俺の服の袖をつかんで急かす。本当にそれでいいのか確認する暇もなく、結局早苗のペースに飲まれたまま俺たちはそこで飯を食うことになった。
その後、遊びすぎて疲れた俺たちは公園のベンチに座って休んでいた。最初のうちはそのままお喋りしていたが、やがて無言になる。俺の方はというと、言ってみたい事は、まだあった。今は22時過ぎ。下手すれば終電を逃すぐらいの時間。それにもう外は暗い、となれば今日、早苗は――
(ちょんちょん)