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どうでもいいどうでもいい、と呟きながら、ベッドに寝転んで天井に向かってナイフを投げるベルセンパイは、明らかに「どうでもいいなんて思えない」と言っているようにしか見えませんでした。
それぞれが自室に戻った後、うっすらとドアの開いているセンパイの部屋の中をこっそり覗き見たらこれですよー。
若干ホラーですー。
そんなにも「後輩を心配するなんてかっこ悪い」と思っているのか。
…そうじゃない、ですよね。
センパイが認めたくないのは、「どうしてこんなに心配なのか」、その原因の方。
認めたくない、認められない気持ちはわからなくもないんです。
だってセンパイって、本当に歪んだアタマの持ち主で、血も涙も情も心もあったもんじゃない快楽殺人者で、はっきり言って異常者。(…おっと、言い過ぎたかな。…頭の中でなら、何思ってても怒られませんよねー。)
そんな人が、後輩の女の子がすきだ、なんて。
堕王子にも人を好きになるような心が残っていたなんて、ミーだって驚きです。
多分、センパイ本人の方が、そんなのあり得ない、って思っているのに違いない。
だから素直に認めようとしない。
気持ちはわかります、が…
認めた方が楽になるのに。
…いや、そもそも隊員同士の恋愛禁止令が下されているヴァリアーでは、認めても楽にはならないかもしれないけれど。
天井に無数に穴を開け続けるセンパイの、そのナイフの矛先が自分に向けられないうちに、ミーはセンパイの部屋を後にしました。
認めていようとどうだろうと、彼女が死んだかもしれない事には変わりない。
そっとしておくのが一番だと、そう思ったので。
こういう時に人にかけてあげる言葉なんて知らない。
そういう意味では、ミーもセンパイと同類。
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