『ベルセンパイが怒ったのは、兄貴が憎かったからじゃないでしょ』
『自分だって普段ぞんざいな扱いしてるくせに、人にそうされるのは我慢ならない…って、ホント我侭ですよねーあの人』
都合のいい私の頭は、ベル先輩の言葉をも勝手に都合よく解釈しようとする。
フラン先輩の言う事が仮に本当だとしたら。
さっきのベル先輩の言葉は。
『(お前を傷付けたムカつく奴を、)やっぱオレが殺したかった、オレの手で殺したかった』
そういう意味、だったりして…なんて。
都合の良過ぎる自分の思考が恥ずかしくなる。
でも一度そんな風に思ってしまったらどうだ。
ものすごい事を言われたような気になってしまう。
あの時の、見たこともない程取り乱していた先輩の姿も、私のためだったりしたら。
馬鹿、落ち着け、妄想もいい加減にしろ。
そう言い聞かせようと頑張ったけど、あっという間に私の体温は上昇した。
顔が熱い。
ベル先輩の触れている部分は、もっと熱い。
多分、顔真っ赤になってるんじゃないか。
先輩に見られていたら、触れられていたら、このくだらない妄想までも伝わってしまいそうで、ものすごく恥ずかしい。
そうやって口をパクパクさせている私の様子を、先輩もおかしいと思ったのだろう、彼は怪訝な顔をして手を放す。
そして、
「何ポーッとしてんだよ」
と、その手は今度は頭の上にぽんと置かれた。
決して優しい手つきではなかったけど、その重みさえ嬉しかった。
そうだ、先輩の手の重みがちゃんと感じられる。
…先輩が生きててよかった、よかった、ほんとに!
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