不思議なものだ、ジルを見た時、『先輩と全く同じ顔』と思ったのに。
こうして見ると全然違って見える。
パーツも、その並び方も、確かに同じなんだけど、でも…違う。

何やら真剣な(ように見える)表情で私を見ていた先輩は、ふと頬から手を放すと、今度は私の右のこめかみ辺りに手を移動した。

「…切れてる」

「ああ、それは…」

ジルに踏んづけられた時の。
ブーツの裏でぐりぐりされて、擦りむいたような傷になっていた。

お兄さんに足蹴にされちゃいましたよーあはは、くらいのノリで軽くその事を伝えたら先輩は、ふうんと興味なさげに相づちを打つ。
その声音は確かに興味なさげだと思ったのに、そのすぐ後に

「…やっぱオレが殺したかった」

そう呟いたものだから、私は即座に思い出してしまった。
フラン先輩の言っていた事を。


2年47