ぽつりぽつりと、涙声でフラン先輩と会話をしていたら、とんでもない言葉が耳に入って私は言葉を失った。

「自分だって普段ぞんざいな扱いしてるくせに、人にそうされるのは我慢ならない…って、ホント我侭ですよねーあの人。
あれがあなたじゃなかったら、別になんてことなく見殺しにしてますよ」

…何言ってるんだ。
ベル先輩が怒ったのは、ジルが私に危害を加えようとしたから…?
そう、言ってる?
いやいやまさか、そんな事。
ないよ。
あるわけない。

「だから一緒に行きたくなかったんですよねー。
やっぱり思った通り、ミーがお守り役じゃないですかー。

あ。

なんか呼ばれてるみたいですー。
じゃ、ミーは行きますんで、ちゃんと鼻水拭くんですよー」

ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと。
ちょっと待って。
私を混乱させたまま放置しないでフラン先輩!

と叫びたかったけど、私はおろおろとよくわからない声をあげただけで、彼を引き止められなかった。
引き止めたって何をどうできるわけでもないのだけど、でも。

せっかく忠告を受けて隠れたというのに、私はフラン先輩の去った方向に踏み出してそちらを見てしまった。
フラン先輩が走る、ボスの周囲にたむろする幹部の皆さんの方向を見てしまった。
そしてばっちり目が合ってしまった。
いや、目は見えないんだけど、確実にこっちを向いてた。
涙の余韻で目を赤くして鼻水垂らしてる顔を見られてしまった。
あの人に。
綺麗な金の髪に縁取られた涼しい顔がこっちを見ていた。

うわあああああ。

なんてどこまでもかっこ悪い私!
慌てて再び隠れたけれど、多分意味なかった、と思う。


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