気が付いたら、いつの間にか熱い雫は私の頬を伝い、膝に落ち、黒い隊服に染みを作った。
私は慌てて目を擦る。
駄目だ、こういうのがいけないんだ、弱いって言われるんだ。
でも。
脳裏にしっかり焼き付いてしまったあの情景がフラッシュバックする。
この上もなく悲惨な死に方で散っていく、二人の姿。
あれが幻だったとわかった時だって、喜ぶ暇も余裕もなかった。
今になって深い安堵が胸の中に広がって、涙になって零れていく。
———見られたくない。
情けなく泣いてる姿なんて、先輩達には見られたくなかった。
特に、あの人のはもう嫌われたくないし呆れられたくない。
私はこっそり彼らに背を向けて、下手すると口から漏れてしまいそうな情けない泣き声を押し殺した。
その私の背を、
ぽんっ
と叩かれて、私は飛び上がるほどびっくりした。
「ふわあぁああ!?」
「何マヌケな声出してるんですかー」
「ふっ、ふっ、フフフ、フラ、」
「フフフって何ですか、気持ち悪いですよー」
あなたは人が悪い。
びっくりしすぎて言葉が出てこないじゃないか。
「あのー、もうちょっとその辺の、瓦礫の陰あたりに行った方がいいんじゃないですかねー」
「へ?」
「意外と目に付きますんでー。
後ろ向いて肩震わせたりしてると。
見られたくないんでしょー、ベルセンパイに」
「……………ハイ」
言われるがままに、私はずるずると体を引きずって瓦礫の陰に身を隠した。
そう、この人は知っているんだ、私の気持ちを。
だからたまにこうやって、おせっかいというか親切のつもりだか———からかってるだけかもしれないけど、ちょっかいを出してくる。
→