なんて、何を思い出してるんだろうねオレは。
その女が、死んだかもしんない、わけか。
幹部より一段劣る、けど下っ端どもの中ではトップクラスの実力を持った男が、今回のアイツの上官だったか。
その男の率いる集団に、アイツもついて行く事になっていた。
その男も、一緒に行ったやつらも、誰一人戻ってきていない。
力不足だったって事だろう。
幹部と一緒に行動してれば無事だったかもしれないのに、不運なやつだ。
「あ、そういえばあの子も…」
と、フランが呟いてオレを見た。
「…いや。
彼女の事ですし、もしかしたらまた道に迷っているのかもー…」
「何の話だよ」
「だから。
死んだとか決めつけるにはまだ早いですよ、ねー」
さっきは『尊い犠牲って事でー』なんて言ってたクセに、急に何言ってるんだコイツは。
「心配、ですかー?」
「何がだよ。
後輩の心配なんてしないっつーの。
お前だってそうだろ」
そう言い捨てると、フランは「やれやれ」といった風に肩を竦める。
何が言いたいんだよ。
「…とにかく。
明日の夜にはこっちも次の行動を開始するぜぇ。
その時までに戻らなければ…それまでだ」
「ラジャーですー」
戻らなければ、とスクアーロは言った。
もう戻らないだろうと、思っているくせに。
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