ベル先輩とは真逆の、いたって冷静な口調で、フラン先輩は言う。
ベル先輩は、その言葉にしばらくぽかんとして、それから俯いて『はぁー』と溜息を吐いて、ばつが悪そうに頭を掻きむしった。
「…お前にそんな心配されたくないね」
とは言ったものの。
あ、いつものベル先輩、と私も思った。
我を忘れて暴走しかけていた彼の醸し出す緊張感が、今やっとぷっつり途切れた。
緩やかに弧を描く口元を見て、私は少し安心した。
「センパイ、落ち着きましたー?」
「オレはいつだって冷静」
「ウソつき。
まあいいですけどー。
頭が冷えたなら、行きましょうかー。
見てみたいって思ってたんですよー。
怒りんぼのうちのボス、本当に強いのかなーって」
「急がねーと終わっちまうぜ。
ったく、お前が戦わねーから」
「しょーがないじゃないですかー…」
雑談を交えながら、二人はさっそく動き出した。
「あ、ま、待って下さい…!」
結局私はいつも背中を追うばかりなのだ。
隣には並べない。
でも、追うべき背中がまだそこにある。
私をどこまでも走らせる。
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