喜んでいる暇もなく、ベル先輩はさっさと走って行ってしまう。
私とフラン先輩も、慌ててその後を追った。
ベル先輩の熱は、まだおさまっていないんだ。
彼は私たちを見ていない。
まだジルを、追いかけてる。
「ちょ、センパイ、待って下さいよー」
「うっせ。
お前らはそこでグズグズしてろよ」
「待って下さいってば、ねぇ、」
「———殺すんだよ。
アイツはオレが殺さなきゃ———」
鬼気迫る勢いで彼は言う。
殺す殺す殺す殺す…って、彼の全身が言っているみたいだった。
が。
そんな不穏な雰囲気はおかまい無しに、フラン先輩は突然———思いっきりベル先輩の脚にしがみついた。
これぞまさにカエル!って感じの跳躍で、先を行くベル先輩に貼り付く。
その重みで、ベル先輩は悲鳴をあげて地べたにへばりついた。
「っな…にやってんだてめー!!
放せっ!!」
地面に強かに打ち付け赤くなった鼻を押さえつつ、ベル先輩がカエル頭にげんこつを食らわすと、フラン先輩は素直に彼の脚を放す。
「ミーだって別に好きでしがみついてるワケじゃないのに…
痛いですー」
「なんのつもりだよ、邪魔すんじゃねー!」
「だめですセンパイ、今追いついても、今のセンパイじゃ絶対殺されますー。
ミーがせっかく助けてあげたんだから、無駄死にしないでくださーい」
「ハァ?
誰が殺されるって…」
「殺されます」
と、フラン先輩は真顔で、きっぱりと言い切った。
「死にますよ。
だって、センパイ今、冷静じゃないでしょ。
そんな頭に血が上った状態で何も考えずに突っ込んでいったら、死にます。
絶対死ぬ」
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