初めは耳から。
ベル先輩の左耳から、あり得ない勢いで赤いものが噴き出した。
一瞬何が起きたのかわからなかった。
ぽかんとしているうちに、続いて口から。
先輩の肩に乗っていたあの可愛らしいミンクも、同じように耳から口から夥しい量の血を吐いていた。
何が起きたのかわからなかったのは、私だけでなくフラン先輩もそうだったみたいで、彼は血塗れになって崩れ落ちようとするベル先輩の顔を覗き込んだ。
その瞬間に、彼も弾けるように。
ベル先輩に無理矢理被らされていた、カエルの形をした被り物の目玉が、噴き出した血液で飛んだ。
真っ赤になった二人が、私の目の前に落ちて来た。
それを目の前にしても、私はまだ状況を把握し切れないでいた。
なにこれ。
体が動かなかった。
私の体は、倒れた二人に近寄ろうともしなかった。
だって、怖かった。
見たくなかった。
二人は先輩で、ボンゴレ最強の独立暗殺部隊の幹部で、私よりずっとずっと強くて、だから、こんなの、ない。
あるわけない。
私の頭は、現実を受け入れるのを拒否した。
目の前で、先輩が微かに動いた。
僅かに頭を持ち上げて、空に浮かぶ自分の片割れを見上げて、その名前を呼ぶ。
「散れよ」
彼の言葉に合わせたように、先輩の体が、花火みたいに散った。
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