間違いなく、ジルの爪は私の首に食い込もうとしていたように思う。
やけに冷たかったのが、本気で不気味だった。

でもその次の瞬間に、私の体は熱に包まれ、冷たい指はするりと離れた。

気付けば。

私を連れていた二人の兵士は、悲鳴を上げる間もなく炎に包まれていた。
そして、私を拘束していた鎖も。
白いキラキラした影が視界に入った。
生き物。

———ミンク。

その白い小さな生き物が通り過ぎた後、炎に包まれた鎖は難なくバラバラに散らばって私の拘束を解いた。
嵐の炎の持つ力は、分解、だったか。
あんなに私が苦労しても解けなかったっていうのに、なんてあっさりと。
あっさりと、彼は私を解き放った。
ベル、先輩。

宙に浮いて私を捕らえていた奴らが絶命し、鎖から解放された私はそのまま落下した。
ずっと締め付けられていて動きが鈍い体をなんとか動かして着地する。
宙に浮かぶジルと執事、そして木の上でそれと対峙する二人の先輩を見上げる。

ミンクはすでにベル先輩の肩に乗って澄ましている。
あんなに可愛らしいのに、なんて仕事の早い。

でも———多分あれは、ジルを狙ったものだったに違いない。
先輩が私を助けたりは、まずしないだろう。
簡単に火ダルマになった部下とは、さすがに違った、という事か。
不意打ちの攻撃をさらりと避けたジルは、まだ少しも乱れずに椅子の上で偉そうに脚を組んでいる。


2年27