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舌噛んで死にたい、と思った。
舌を噛んで自殺っていうのは実は結構成功率が低い、と知っているから実行はしなかったけど、要するにそのくらい情けなかったし居たたまれなかった。
先輩二人の前で、敵に捕らえられた(しかものうのうと生きてる)姿を晒されるなんて、大失態だ。
今ここで二人の先輩のどちらかに殺されても文句は言えない。
ヴァリアーはそのくらい、厳しいところのはずなのに。
私と来たら、なんて間抜けな。
ジルが行動を起こすまで…夜になるまでの間、目の前に武器を転がされ、それと一緒に私も転がされたまま、放置されていた。
ジルは同じ部屋で優雅にお茶など飲んでいたり、私に監視も付けずにふらっと部屋を出て行ったり、私が逃げられないと確信している様子だった。
隙だけならばいくらでもあった。
でも、それでも私はこの特殊な鎖の拘束から逃れる事もできず、もたもたともがいているだけだったのだ。
抜け出す努力はしてみた。
でも、鎖はどうあがいても千切れなかったし、関節を外したって抜けられそうになかった。
少し動けば、鎖が生き物みたいに絡み付き、締め付けてくるのだ。
じたばたしても、武器には手が———実際には手は拘束されているから、使えるとしたら口になるが、届かなかった。
こんな時、先輩達ならどうやって切り抜けるんだろう。
頭の悪い私には、考えてもわからなかった。
それで、結局こうしてこんなところにまで拘束されたまま連れて来られてこの様。
屈辱的な殺し方をしてやるなんて言われたけど、もう十分屈辱的だ。
「…生きてたんですねー、一応。
よかったですねー、ねぇ、センパイ」
特に嬉しそうでもない顔で、フラン先輩は言った。
ベル先輩は、答えない。
前髪で覆われた瞳は見えないけど、なんだか睨まれているような気がした。
ベル先輩はきっと、怒ってる。
そりゃそうだ、こんな醜態を晒して、敵をつけあがらせる材料になっている役立たずなんか、憤慨されて当然だろう。
おまけに———仲間が殺されているのにも、後になるまで気付かなかった。
知っている、ベル先輩は、弱いやつ・使えないやつ・足を引っ張るやつは嫌いだ。
もともと別に好かれてもいなかったけど、より一層…嫌われたに違いない。
「なんだよ、もっと嬉しそうなカオしたら?
感動の再会、だろ?
だーいすきなベルセンパイとの、なぁ?」
もう余計な事を言わないで欲しい。
これ以上印象を悪くしたくないのに。
ベル先輩とよく似た顔を近づけて、ジルは私の顎をぐいっと掴んだ。
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