「なんでお前をほぼ無傷で生かしといたか、わかる?
お前が一応女だったから。
女の隊員なんて珍しいし、もしかしてXANXUSや幹部どもの女だったりしたら…面白いかなと思ったんだよ」

…あり得ない。
幹部陣のメンツは、驚く程ストイックにボスの事ばかり考えている人や、私のような小娘など鼻にもかけない人や、そもそも女性が恋愛対象でない人や、そんなのばかりだ。
ボスなんて、ヴァリアー内で色恋沙汰なんてふざけるな、とも言っている。
よそにどれだけ女を囲っているのか知らないけど(本当に知らないけど、囲っていそうなイメージはある)、下っ端隊員に手を出すわけがない。

「もしお前が誰かのお気に入りだったりしたら、ぐっちゃぐちゃに犯してマワして切り刻んで達磨にでもして、その映像録って死体と一緒に送りつけてやったりするのもいいかなとか。
思ってたんだけどな」

至極残念そうに彼は言った。
実に軽薄な口調で、随分と趣味の悪い事を言う。
やっぱりベル先輩の兄なだけはある、と、迂闊にもそう思った。

「奴らにも聞いたけど、残念ながらお前はただの下級隊員みたいだし。
そこまでやっても、誰も動じないんじゃなぁ」

少しは動じて欲しいものだが、確かに誰も動じてくれそうにない。

「まあ、お前も十分ムカつく女だっつーのはわかった。
だから、な?
大好きなセンパイの前で、みっともなく屈辱的な殺し方で殺してやるから。
楽しみにしてろよな」

綺麗な笑顔。
やっぱり似ている。
こんな風に、無邪気にも見える笑顔で、口から出る言葉は「殺す」。
あの人と一緒だ。

と、彼の笑顔を見つめながら、ふとさっきの彼の言葉がひっかかった。

『奴らにも聞いたけど』

って…


2年20