「まあ、敵さんの頭はやっつけたことですしー」
間延びした声で、カエル頭の後輩が口を出した。
死んだマーモンの代わりに幹部入りしたこいつも、かわいげのなかったマーモン以上にかわいげのない生意気なガキ。
その抑揚のない喋りは、人をムカつかせるためにやってるとしか思えない。
「作戦は成功、ってことでいいんじゃないですかー?
戻って来なかった人たちは、任務遂行のための尊い犠牲…という事でー」
「…やられたなら仕方ねぇがなぁ」
そうそう。
弱肉強食、弱者には死あるのみ。
それがヴァリアーの鉄則。
やられた部下の事なんて、いちいち気にするもんでもない。
ただ、今は敵対するミルフィオーレっていう組織がでかくて人員も多いから、できるだけ欠員は抑えたいところだが。
つまるところ、それだけだ。
「…今んなって戻ってこねぇんじゃ、死んだ…か、やはり」
ぼつり、と呟いたスクアーロの声を不快に感じた。
こいつの声はいつも耳障りなんだ。
胸の内側を引っ掻かれるみたいな、焦燥感に似た感じがよぎったのは、別に『死んだ』って言葉に反応したからじゃない、はずだ。
誰が死んだって、オレには関係のない事。
その戻ってこないやつらの中に、あの女がいるってのも。
オレには関係のない事。
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