…なんで?
自分で言うのも悲しい話だけど、私が目の前で殺されても、ベル先輩には何の影響もないと思う。
後輩なんて誰が死んだって気にするわけない、むしろ気に入らない部下は殺した事だってあるって聞いた。
そんな薄情で常識外れなあんちくしょうなのだ、ベル先輩は。
目の前で後輩を一人殺したって、嫌がらせにもならない。
意図が飲み込めず目をぱちくりさせている私に、彼は言った。
「お前、惚れてんだろ?ベルに」
…なんで。
一般的な言い方をすればそう、そうなんだろう。
私がベル先輩に抱いている想いは、憧れでも尊敬でもなくて、捨て切れなかった恋心。
でも、それをなんで、出会ったばかりのこの人に、ろくに会話もしていないこの人にわかるんだ。
「ししし、図星。
なんでわかる…って言いたげだな。
見りゃわかんだろ。
オレをアイツの名前で呼んだ時の顔見ればさ。
どんだけアレを頼りにしてんのか知らねーが、そりゃ惚けた顔してたぜ。
おまけに『ベル先輩は出来損ないなんかじゃないっ』と来たもんだ」
気持ち悪く女の子ぶった口調で台詞を真似られて、恥ずかしくもあり、頭にもくる。
拘束されていなかったなら殴り倒したいところだ。
…そうか、わかった。
私をベル先輩の目の前で殺す…っていうのは、ベル先輩への嫌がらせのつもりなのではなくて、私への嫌がらせのつもりなのだ。
大好きな先輩の前で無様に散れ、そういう意味か。
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