聞いた事がある。

初めてベル先輩と一緒の任務になった時に、ルッス姐さんが新参の隊員を呼んでこっそり注意したんだ。

『噂を聞いた事があるかもしれないけど、あのコちょっと危険だから気をつけてね~。
自分の血を見ると発狂しちゃうの!
そうなっちゃうともうダメよ、手が付けられないの。
敵にぶつければ最高の戦力になるんだけどね、敵も味方も見境なくなっちゃうんだもの…』

王族の血。
ベル先輩が王子だというのはただの与太話ではなくて、本当の事なんだそうだ。
なんでも結構有名な国の王子だったんだとか。
自分の中に流れる王族の血をその目で見ると、彼の幼少頃の記憶が蘇り、狂気に目覚めるのだという。

そんなバカな話、と思ったが、実際隊長やレヴィ先輩までもが「あれは酷い」と眉をひそめたくらいだから事実なのだろう。

『思い出すんですって、初めての殺しの体験で得た快楽を。

あのコは、自分の』


…そんなバカな話。
と、それもそう思った。
でも、

『自分の双子のお兄さんを殺したんだそうよ』

自分にそっくりの、瓜二つの、でも生まれた時から超絶仲が悪かった、双子の————。


2年16