「何ジロジロ見てんだよ。
目覚めの気分はどうだ?
ヴァリアーの…捨て駒ちゃん」
顔を覆う眩しい金の髪。
目を隠す程長い、特徴的な前髪。
不敵な笑みの形に弧を描く唇。
おまけに、頭の上に…ティアラ。
見慣れたそれとは少し意匠が違うけれど、そんなものを身につけている人なんてそうそういるもんじゃない。
「ベル…先輩…?」
先輩はこんな風にさらさらした髪じゃなかったし、ヴァリアーの隊服の中にボーダーのシャツ、っていう格好しか見たことがなかったけど、いつも自分は王子だとかなんとか言っていたから。
王子様っぽい格好をしたベル先輩、かと思ったのだ、一瞬。
あ、でも、さっき耳に響いた声は、少し、
「ベル?」
ああ、やっぱり、少し違う。
先輩の声とは違う。
この人は…
誰だ。
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