状況を把握するのにそう時間はかからなかった。
だって私の体には、重々しい鎖が巻き付いている。
力を入れてみてもほとんど動かない。
その鎖は、死ぬ気の炎を纏っている。
生身でどうにかできるものではないようだ。
そして、目の前には見慣れた武器が、私のも、仲間のも、上官のも、私と行動を共にしていた者全員分の武器が、無造作に放り投げられている。
こんなに近くにあるのに、手の出しようがない。
わざわざ見せつけるようにそこに置いてあるのが腹立たしい。
武器になるもの全てを取り上げられた私は、無力に等しい。
…なんて弱いんだろう。
やっぱり私は甘いのか、先輩の言っていた通りに。

努力していたつもりだった。
強くなりたかった。
でも、その強くなりたいという動機さえ、不純だったのかもしれない。

先輩に、認めて欲しかった。

誰かのために、なんていうのは、暗殺部隊には要らないんだと皆が言った。
ボスも、隊長も、先輩も。
敢えて言うなら、私たちのトップに立つ、ボスのため。
その志さえあれば十分なのだと。
他の誰かに気を取られているようなやつは、甘いんだと。
みんな、そう言ってた。

その通りだ、私は甘いんだろう。
だってほら、今私を見下ろしている、恐らく私を拘束した張本人であろうその男の顔を見た瞬間、私は平静を失ってしまった。

似ている、いや———同じだ。

私が認めて欲しいと思っていたその人と、私が捨てられなかった女の部分を揺さぶるその人と、寸分違わず同じ顔がそこにある。


2年12