翌日、私は私の部屋を漁っていた。
私の部屋っていうのはつまり、10年後の私が借りてたアジトの部屋だ。
外出禁止令が出ているのでヒマでしょうがなくて、10年後の自分がここに残していったものをいじって遊んでいた。
いきなり出て行った感じだったみたいだから、結構色んなものが残っていた。
服とか、読みかけの本とか、10年後の私はこういう趣味なのか…と思いながら。
「あんまり荒らすなよ。
…戻ってきてもらう予定なんだから」
「そろそろ捨てたらどーだぁ?
戻ってくる見込みもねえのに取っといてもなぁ」
からかうスクアーロの言葉に、ベルはムッとした顔を返す。
まあ私のモノなんだから、好きにいじらせてもらおう。
呆れたのは、なんと携帯まで置いていってたことだ。
本当に勢いで出て行ったらしい。
私の持ってるのより、やっぱりハイテクなんだろうか。
見たこともない機能がついてたりして。
興味津々で手にしてみたが、もう充電が切れていた。
ここに戻ってくるつもりがなかったのなら、もう解約して新しいの買ったかもしれないな…と思ったけど、充電器に繋いでみる。
「人の携帯勝手にいじって…」
とベルに言われたけど、私のだもんと言い返す。
ベルこそ、見てないよね?と聞き返すと、だってロックかかってるし、との返答。
「ロックかかってるって知ってるって事は、見ようとしたんじゃねえか」
「…してないもん。
いつも解除してるの見てたから知ってるだけ!」
「どーだか…」
喧嘩を始めた二人をよそに、私は携帯の電源を入れる。
まだ解約されてはいないみたいだったけど、確かにロックがかかっている。
ロックは指紋で解除できるタイプだった。
液晶を指で触ると、難なく解除された。
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