暗い部屋の中で、私は目を覚ました。
時計代わりの携帯電話を見る。
まだ夜中の3時。
なぜかいきなり10年後の世界(しかもイタリア)に飛ばされてきてから数日経った。
いまだに、このベッドには慣れない。
なんだか寝づらくて、目が覚めてしまう。
「寝れないの?」
と、声をかけられて驚いた。
ベルの声だ。
「ちょっと目が覚めただけ」
と答えると、彼はそう、と呟いて、ソファから起き上がるとこちらへ向かってきた。
暗闇の中で、一瞬私を抱きしめて、
「よく寝とけよな」
とだけ囁いて、頭をぽんぽん撫でた後、ベルはソファに戻っていく。
一緒に寝ようよ、と言いたかったけど、それは言わないでおく。
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