婆「うう………」

狼「………」

狼の爪と牙は、おばあさんに襲い掛かる直前でぴたりと止まりました。
本当は早く切り裂きたくてウズウズしているのに、どうしても体が動きません。

狼「…くそ…」

狼は、赤ずきんの事を思い出していました。
おばあさんを心から心配していた赤ずきんが、狼におばあさんを殺されたと知ったらどう思うでしょう。
どんなに悲しい顔をするでしょう。

それを考えると、狼はどうしてか悲しい気持ちになってしまって、おばあさんに手を出せないのでした。

赤ずきん14
赤ずきん13