G文字というやつを御存知だろうか。
獄寺隼人という名の男が少年時代に作り出した暗号文字。
子供じみた変な絵柄は、日本語に置き換えられる。
どの絵がどの字に対応しているかは本人しか知らない。
ゴクデラの頭文字を取ってG文字と名付けたらしい。
それを彼女に聞かされた時、ふーんガキくせー、という感想を漏らしておきながら、自分自身も同じようにガキだったオレは、そのイタいものを真似てしまった。
あんなダサい絵を使わなかっただけまだマシか、それとも無駄にカッコつけてホラーのような暗号文字にしたのは逆によりイタいか。
まあどっちにしても若気の至りってヤツだよね。
ベルフェゴールの頭文字を取ってB文字と名付けられたソレは、せっかく生み出されたにも関わらずろくに使用される事もなく、忘却の彼方へと消え去った。
使用されたのは、たった一度だけのはずだ。
たった一度。
そう、その開発したばかりの暗号を使って、オレは彼女に手紙を書いた。
いわゆるラブレターというやつを。
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