そいつらの話、最後まで聞いてなかった。
「大事な人を傷つけた」
と、アイツがそう言ったって。
それだけでもう居ても立ってもいられなくなって、オレは走ってる。
なんでそうなんだ。
わけもわからず勝手にフラれたようなもんなのに、なんでオレの心配なんかしてるんだアイツは。
バカじゃないのか。
「サイテーな男に捨てられた」とでも言えばいいのに。
なんでそんなに、優しいんだ。
バカなやつ。
久しぶりに通るアイツの家への道を、無我夢中で走った。
懐かしい。
ここを通る時は、いつもわくわくしてた。
顔が見たくて、浮かれてた。
その頃の事を、思い出す。
好きだ。
すごく好きだ。
今でもそれは、やっぱり変わんない。
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