「わざわざ呼び止めといて、言いたい事はそんな事?」
(彼は振り向いて、こちらに歩み寄ってきた。
口元に笑みを浮かべて、ゆっくり向かってくる。
そして…
私の喉元に、あの時と同じナイフが触れた)
「オレは殺し屋だよ。
現実離れしすぎてて信じられるかどうか知らないけど、マフィアってやつ。
日本には、それ絡みの抗争、みたいな?
目障りなヤツらを殺しにきたのさ」
(…夢でも見てるんだろうか。
でも、ナイフの冷たい感触は、夢じゃない)
「今日の怪我もそれが原因で。
相手にもひでー怪我負わせたハズだよ。
あんまり覚えてないけど。
オレ、自分の血ィ見るとキレるんだよね。
一暴れしちまったから、記憶なくてさ。
…ヤバイと思った?
お察しの通り、ヤバい種類の人間だと思うよ。
捨てられた子犬に同情できるような神経なんて、オレは持ち合わせてない。
殺しの仕事だって、別に悪いとか思ってないし。
自分から志願したんだよ。
好きなんだ。殺すの」
(喉元のナイフに、一瞬力が入ったように思った)
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