「アホくさっ」

オレは大きく伸びをして、ペンを投げ捨てた。
白い便箋に自分で綴ったヘタクソな日本語を頭から読み返し、途中で止めた。
やっぱアホくさい。

幸せだった、好きだった、愛してた。
過去形にできないものを、無理矢理過去形にしてどうすんの。
多分死んでもオレがこんな殊勝な事、「オレを忘れて幸せになって」なんてそんな事、思えるわけがない。
オレを忘れないで、他のヤツんとこ行かないで、一生オレの事考えて頭いっぱいにして苦しんで。
我侭で自己中心的な王子の望みはどうしたってソレだ。
死ぬ前からわかるよ。

だからこんな紙切れに精一杯強がりの言葉を並べても、何の役にも立たない。


いつか消える日3