いつものさいたまスーパーアリーナで迎えたコーカサスビートルアンデッド戦 。
ブレイドジャックフォームが大ダメージ、ライトニングスラッシュも勢いを見せず惨敗だった。
通信から響く広瀬さんのため息、どこからか聞こえる「ウニナンダヨ」の声 。
攻撃を受け散らばるラウズカード達の中、今日も出番が無かったマグネットバッファローは独りカードホルダーの中で泣いていた。
バトルファイトの中で手にした栄冠、喜び、感動、そして何より運命の切り札…… それを今のブレイドの力で掴み取ることは殆ど不可能と言ってよかった。
「どうすりゃいいんだ……」 マグネットバッファローは悔し涙を流し続けた。
どれくらい経ったろうか、マグネットバッファローははっと目覚めた。
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいホルダーの感覚が現実に引き戻した。
「やれやれ、今日もイメージトレーニングをしなくちゃな」マグネットバッファローは苦笑しながら呟いた。
立ち上がって伸びをしたような気分で気合いを入れ直した時、マグネットバッファローはふと気付いた。
「あれ……?アンデッドがいる……?」
ホルダーから覗いたマグネットバッファローが目にしたのは、世界中を埋めつくさんばかりのローチだった。
千切れそうなほどに激しく戦い、地鳴りのようにローチの咆哮が響いていた。
どういうことか分からずに呆然とするマグネットバッファローの背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「バッファロー、コンボで決める、早く行くぞ」
声の方に振り返ったマグネットバッファローは目を疑った。
「タ……タックルボア?」
「なに? お前居眠りでもしてたの? 」
「コ……コーカサスビートルアンデッド!?」
「なんだバッファロー、かってにエボリューションコーカサスさんを封印から解きやがって」
「メタルトリロバイト……」
マグネットバッファローは半分パニックになりながらスペードのカードスートを見上げた。
A:チェンジ
2:スラッシュ
3:ビート
4:タックル
5:キック
6:サンダー
7:メタル
8:マグネット
9:マッハ
10:タイム
11:フュージョン
12:アブソーブ
13:エボリューション
暫時、唖然としていたマグネットバッファローだったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった。
「勝てる……勝てるんだ!」
ブレイドがラウズカードを抜き取り、ローチの大群へ全力疾走する、マグネットバッファローの目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった……
翌日、ホルダーで冷たくなっているマグネットバッファローが発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った。
図鑑・内川コピペ