2017-09-21
 夏も終わり、すっかり涼しくなってきた。日陰を見つけて涼む必要も寒空の上で凍える必要もないこのくらいの季節がやはり一番過ごしやすい。これから葉も色づいて来るのだろう。○○に妖怪の山の見事な紅葉を見せてあげるのが楽しみだ。

 ……変な話だが、どうにも最近は○○の事ばかりを考えてしまう。私は新聞記者であの人は取材対象、記事にされる人間。それだけ。だったのに。
 いつの間にか仲良くなっていた。友人になっていた。里に訪れた時にあの人を探すようになった。目で追うようになった。わかってる、なにも普通なことで、人と親密になるというのはこういうものだ。……対象がただの人間であるというだけで。
 あの人にもっと近付きたい。だが○○がただの人間であるという、たったその一点だけでそれはとても困難なものになる。
 元来、人と妖怪はこういったプライベートな交流を持つべきではないのだ。人間が妖怪を恐れなくなってしまえば、妖怪は存在できなくなってしまう。私があの人と繋がることが巡り巡って自分達の首を絞めることになってしまう可能性があるのだ。僅かな可能性でも看過しない、例外は許されない。組織に属するということはそういうことだ。周りの天狗の言い分だって、正論だ。
 越えてはいけないラインがどこかに引かれているのは明白である。いつか気付かぬうちに越えてしまうのではないか。あの人と目を合わせた瞬間に、言葉を交わした瞬間に、触れ合った瞬間に、そんな恐れが頭をよぎる。今日も弱った子犬のように怯えながら、それでも私の足はあの人の下へと向かう。
好感度は50%


2017-10-04
 十月に入って、幻想郷も秋めいてきた。今日は秋の神様が焼き芋を作っていたので二個ほど頂いてきた。一つは私の分、もちろんもう一つは○○の分。包み紙に文々。新聞を使っていたのだが、読んでくれているのか怪しいところである。
 なんにせよ、しっかりと秋の味覚は楽しんでおかないと。秋なんてすぐに終わってしまうのだから。妖怪から見た人間の一生みたいに。ささ、冷めてしまう前に焼き芋を○○の所まで運んであげなくては。
好感度は51%


2017-10-16
 山も紅く染まってくる時節。肌寒い日も多くなってきた今日この頃、私は夏の間にたっぷり寝かされた秋出し一番酒、純米の「ひやおろし」を知り合いから取り寄せることに成功した。秋にしか飲めない酒だから特別人気で、手に入れるのには大変苦労した。
 無論ただ飲むだけでも良いのだが、こいつを秋鮭の漬け焼きを食いながら一緒に飲むとこれが最高に美味いのだ。お互いに味を引き立てあう極上の組み合わせについ頬が緩んでしまう。ある程度飲んだ後は熱燗にするのもおすすめだ。これこそが秋の味覚の極み、あぁしあわせ。
 どうにかしてもう一本手に入れられないだろうか。○○にもこの究極の組み合わせを教えてあげなくてはならない気がしてきた。知り合いに頼んでみるか。
好感度は52%、話題6追加


2017-10-21
 今日、一羽の鴉を拾った。妖力を帯びていてもう妖獣と言っても差し支えない。きっとこれから長い年月をかけて天狗になるのだろう、かつての私のように。
 昔、特に自分がただの鴉だった時期の記憶は私にはほとんど残っていない。ただ他のみんなより少しばかり長生きしていただけだ。多くの生を看取ってきた覚えはあるが、彼らは家族だっただろうか、ただの群れの内の一羽だっただろうか。
 しばらく生きる内に群れから疎まれ始め、独りでゆっくり死のうとしているうちにいつの間にかこの場所……妖怪の山に辿り着いていた。
 山の霊力のせいか私はこの場所をとても好み、定住するようになった。そしてそこからさらに幾星霜経て、天狗として生まれ変わり、空を舞えるようになり、山に受け入れられ、名と姓を貰い、新しい仲間が出来て、育ての親とも呼べるような天狗も出来て、好きな奴も嫌いな奴も出来て、心機一転、過去を完全に捨て去ったつもりだったが、今日の出来事で少しだけ昔を思い出してしまった。
 なかなか良い記憶が思い出せないな、私を仲間はずれにして苛めてきた奴らは妖獣にもなれず全員死んだのかな、とか考えてた時、大空に群れを成して飛んでいく鴉の集団を見て、私は自身の生みの親はどんな鴉だったか、ということすら思い出せないことに気付き、必死に思い出そうとしたのにこれっぽっちも思い出せなくて、何故か少し視界が歪んだ。

 郷愁の秋。
 大した思い出でもない、ただ懐かしいだけのごみみたいな思い出なのになんでこんな気分になるんだろう。みんなこうなのか? みんな、哀しいのだろうか
好感度は53%


2017-10-22
 昨日はぐっすりと寝過ごしてしまって、知り合いに取り置きしてもらった酒を取りに行くのを忘れていた。さっき急いで向かったらなんと「昨日までに来なかったからもう飲んだ」などと宣うのだ。
 もう在庫切れらしいし、次は十一月の晩秋旨酒ひやおろし。来月まで待たないと駄目なのか、悔しい
好感度は54%


――――
・魚   てきとう
・しょうゆ
・さとう
みりん 買い足しひつようナシ

2017-10-27
 しまった、間違えてこのページを買い物のメモに使用してしまった。最近うっかりとしたミスや物忘れが多い。うぅむ、ちゃんとしなくては。年を取るにはまだ早いしなにより鳥頭扱いされたくない。
 今月は文々。新聞を七回も出してるし疲れているのかもしれない。山の仕事も多かったし……。今月の残りは存分に休もう。羽を伸ばすことも大事だ
好感度は55%


2017-11-05
 気が付けばもう霜月。今年も残すところあと二ヶ月もない。もうそろそろ秋が終わって冬も顔を覗かせてくる時節。冷たい風で冷えた身体を酒で暖めることにしよう。
 もうしばらくすれば雪が降り始める。○○も、この幻想郷での冬を初めて経験することになるだろう。外の世界と違って除雪機も何もないのだが大丈夫だろうか、少し世話を焼く羽目になるかもしれないな。しかしまぁそれもいいかも、冬はつとめてと言うしね、意味違うけど。
 おっと、つい酒を飲み干してしまった
好感度は56%

名前:射命丸 文
好感度99%

むしろフェイバリット!

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