《深夜。就寝した●●は・・・いや、“俺”は・・・夢を見た》
《あれは世が明治に変わろうとする頃だったか・・・》
《女衒だった俺はとある一家から女の子を買った》
女衒
「《もう夕方か、遅いし俺の宿で泊まれ。明日にでも遊郭へ売る》」
女の子
「・・・・・・」つーん
女衒
「《まだ歳は五つだったか?今のうちでも愛想を良くするのが賢い生き方だぜ》」
《五歳の子が親と引き離される心情なんて知りもしないが》
《悲壮な顔をしても泣きわめかないのは面倒がなくて助かると思ったよ》
女衒
「《~♪》」テンテンテテテン
女の子
「・・・・・・」じー
女衒
「《こいつが気になるか?》」
女の子
「・・・」こくん
女衒
「《琴だ。俺は女衒の他にも琴を作るのを生業にしているのさ》」
女の子
「・・・」うずうず
女衒
「《ははっ!どうだ?いっちょ弾いてみるか?琴が弾けたら向こうで優遇されると思うぞ》」
女の子
「♪」わくわく
《俺はこいつに琴を教えてやった》
女衒
「《筋がいいじゃねぇか。この手際なら琴以外も上手く扱えそうだ》」
女の子
「♪」テテテンテンテン
女衒
「《くっくっく・・・こいつは良い買い物をしたな♪明日は高く売ってやる》」にやり
女の子
「?」
女衒
「《うん?どうした?わからないところでもあったか?》」
女の子
「・・・」つんつん
女衒
「《あぁ見つけたか・・・まあ身体が小さいから見つけやすいかもな》」
《こいつに弾かせていたの俺のお気に入りだった》
《そういう琴には俺はある一文字を書いていた》
その琴には