《サキは不機嫌だった》
さくら
「どうしたと?サキちゃん」
サキ
「結局●●に走りで勝てんかった・・・悔しいわ」
●●
「手を抜いたほうが良かったか?」
サキ
「せからしい!んなことしたらぶっ殺すぞ」
愛
「面倒ね・・・どうすりゃいいのよ」
サキ
「ったく・・・これじゃ未だに麗子にも勝てなかみてぇでスッキリせん」
●●
「流石に麗子さんも現役みたいなスピードは出せないと思うけどな・・・たぶん」
サキ
「随分と麗子に可愛がられてんな・・・」
●●
「まあ一時期、世話になってた事もあるしな・・・」
サキ
「世話に?」
●●
「師匠に弟子入りする前に数日だけ家に住まわせてもらってた事があってな」
サキ
「そっか・・・」
●●
「あの頃はただ漠然と世話になってただけで、感謝も形だけしかしなかったから・・・今思うと申し訳なく感じるよ」
サキ
「おかんみたいなもんか、麗子は」
●●
「そうなるかもな。本当に良くしてもらってたよ麗子さんには」
サキ
「あいつもすっかり母親やったんな・・・」
●●
「師匠が迎えに来て家を出る時、泣いて抱きしめてくれたよ。傷だらけの俺を」
サキ
「・・・」
●●
「俺が無表情だったから、麗子さんが代わりに泣いてくれてたんだと思う」
サキ
「そう・・・か。麗子がな・・・」
《昔話を聞きながら夜は更けていった》
もうすぐ日付が変わる