●●
「やめておこう」
サキ
「・・・・・・そうか」
●●
「これ以上サキを負かすのは忍びないからな」
サキ
「あん?そらどがん意味と?」ギロッ
●●
「勝負すれば俺が勝つということだ。そのままの意味だよ」
サキ
「上等だ・・・やったら試してみるか!」
●●
「・・・・・・いいだろう。バイクはどっちに乗る?」
サキ
「ふん!性能に差はなかったとな・・・やったら今度はこっちに乗るばい」
●●
「よし。勝敗は“先に自分の乗るバイクを止めた方が負け”・・・でいいな?」
サキ
「おう!お前が止まるまで・・・あたしは絶対に止まらんからな」
●●
「スタートの合図は公平にタイマーを使おう。タイミングは分かりやすくしてある」カチッ

\トライアル!/ピッ・・・ピッ・・・ピーン!
●●
「このタイミングだ」
サキ
「はっ!・・・・・・随分と準備がよかな」
●●
「覚悟はいいか?オレはできてる」
サキ
「御託はええ・・・いつでもよか」
●●
「わかった・・・」カチッ
\トライアル!/ピッ・・・ピッ・・・ピーン!
《スタートと同時に●●が先行した》
サキ
「くそっ!」ブオーン
《●●は最初から前回のスピードで飛ばした》
●●
「振り切るぜ!」
サキ
「あいつ・・・!」
《もう遅かった。マシンに性能差がない以上、最初に差をつけたほうが勝つのが道理》
サキ
「くそ・・・くそ!」ブルルルン
《すでに全開スピードであるため無駄な試みであった。●●は勝ちを確信したのか後ろ振り向きサキの様子を見る》
サキ
「てめぇ余裕か!?舐めんなや!」
●●
「止まる気はないのか!?サキ!」
サキ
「お前より先には絶対に止まらん!」
●●
「そうか・・・なら“俺のマシンも止める気はない”!」
サキ
「くそっ!・・・・・・っておい」はっ
《熱くなっていたサキだが彼女は気づいた》
サキ
「おい!!」
《間もなく終わりの崖が近づいていた事に》
●●
「どうした!?」
《●●はサキの方を向いたままバイクを走らせていた》
サキ
「バカやろう!死ぬぞ!」
●●
「もうすぐ崖なんだろう!?分かってる!」
サキ
「なっ!?」
《決して前を向かないままサキに叫んだ●●の姿を見てサキは青ざめ・・・後悔した》
《勝負がついたと頭で分かっていても負けを認めなかった自分の愚かさを悔いた》
サキ
「●●ー!」
《サキの叫びも虚しく●●の乗っていた赤いバイクは無情にも柵を壊し崖の向こうへと宙を舞った》
そして