マルタ「なら、この話を。…『彼』が私の家に逗留した時、私はあれもしなきゃこれもしなきゃってバタバタしていたんです。それなのに妹のマリアは『彼』の話に夢中になってじっとお話を聞くだけで、準備を手伝ってはくれませんでした」
マルタ「だからつい言っちゃったんです。何であなたは手伝ってくれないの?って」
マルタ「『彼』にも同じように言っちゃって。そうして言われたんです」
マルタ「『マルタ、マルタ、あなたは多くのことに思い悩み、心を乱している。しかし、必要なことはただ一つだけである。マリアは良い方を選んだ。それを取り上げてはならない。』と」

青葉「あれ?それは準備するよりも何もせず座って聞いていた方がいいということですか?」

マルタ「そうではありません。私のやっていたことも、マリアがしていたことも間違いなどではないのです」

青葉「なら、どうして怒られたんでしょう?」

マルタ「私とマリアの何が違ったのか。それは私がマリアに対して不満を覚えたからです」

青葉「というと?」

マルタ「主は人が一人で生きていくのではなく、支えあって生きていくよう造られました。私がマリアを支え、マリアに支えられているように」

青葉「…つまり?」

マルタ「ようは己に与えられた分をしっかりとこなしなさい、ということです。誰が誰を支えるのか、というのは主が決めることでありそれについて私たちがくよくよ思い悩む必要はないのです」
マルタ「人には性格があり、また別の人間になることもできません。私がマリアになることはできないし、マリアが私になることもできないのですから」

青葉「なるほど…では、次にまいりましょう」


青葉「次のお話はですね、ラザロの復活についてお話を聞かせてください!」

マルタ「ええ、いいでしょう」
マルタ「私の弟のラザロはいささか元気が過ぎる子だったんですが、ある日病気になってしまったんです。懸命に治療したんですが、そのかいもなく…そんな時に『彼』が来たんです」
マルタ「『彼』は言いました。『貴女の兄弟は甦る』と。てっきり私は最後の審判のことだと思ったんです」
マルタ「ついで『彼』は言いました。『その石をどけなさい』と」

青葉「石ですか?」

マルタ「ええ。ラザロの墓の入り口を石で封印していましたから。『彼』が開けるように言った時も、きっと匂うからって止めたんです。でも、『彼』は墓の前でラザロに声を掛けました」
マルタ「そうしたら死んだはずのラザロは歩いて墓から出てきたんです。きっと、あの時の光景を私は忘れないでしょう。それだけ衝撃的だったのですから」

青葉「なるほど…死者蘇生とは、神の御業といっても過言ではないでしょう。では、次に行きますね!」


St. Malta interview2