蝉「……よい。我も少々熱くなったようだ」

青葉「で、では次の質問に行きたいと思います。セミラミスさんの伝説の中でもとくに有名な部分である二人の夫についてお話を伺いたいと思います」

青葉「伝承ではセミラミスさんは元々オンネスというアッシリアの将軍と結婚していたのですが、東方遠征の際に彼女の美貌と才に魅了されたニノス王は無理やり彼女を奪い取りオンネスは後に自殺。後宮の中で徐々に王の信頼を勝ち取っていった彼女は王妃になり、結婚式があった数日後に王を毒殺、名実ともにアッシリアの女帝となった…とされています」

青葉「まずこの伝承ですが…。間違って伝わっている部分はありますか?」

蝉「いや、無い」

青葉「では、それを踏まえての質問です。まずセミラミスさんの最初の夫であるオンネスさんについてお話を伺いたいと思います」

青葉「ということでですね、出会いや夫婦仲とかのお話を聞かせていただけませんか?」

蝉「出会い、か。我がどうやって生まれたのかは知っていような?」

青葉「はい。確か、魚の女神であるデルケットがシリア人の男の誘惑に負けて姦通し、その結果生まれたんですよね」

蝉「そうだ。我はうまれた後すぐ母によって川辺に捨てられ牧人に拾われたのだ」

蝉「そうして月日がたち、我はある男を愛した。それがオンネスだ」

青葉「一応伝承によると、夫婦仲は非常に良かったようですが」

蝉「ああ、確かに夫婦仲は悪くなかったな」

蝉「枯れた老人だった。何を強要するでもなく、男たちに媚びるために学んだ歌や踊りも好きな時に歌い踊ればいいと、そういったのだ」

蝉「あれは、穏やかな愛だったのだろう。我の生涯の中でも、あれほどに穏やかだったときは他に無いだろうさ」

青葉「ふむふむ…。では二人目の夫であるニノス王についても同様のお話をお願いします」

蝉「…オンネスの次に我の前に現れたのはニノス王。我を愛したがゆえに奪った男だった」

青葉「どんな性格だったんですか?」

蝉「ああ、我が屈辱で顔を歪めるほどに面白いと笑っていた男だったな」

青葉「うわぁ…」

蝉「あの男を殺したことに後悔は無い。だが、あの男には確かに愛されていたのだろうさ」

青葉「ふむふむ…、ありがとうございます」


Semiramis interview2