モ「稀代の傑物であり完璧な騎士とも謳われた、『湖の騎士』ランスロット卿。こいつが何をしたか、お前は知っているか?」

青葉「はい、確かアーサー王の奥さんである不倫をしてしまったとか…」

モ「そうだ。オレはアグラヴェインと共に不倫現場に踏み込み、それをことさら大げさに暴き立てた」

モ「さらに町に流言を流し、王に不満を持つ騎士たちを唆す一方オレはただただ忠実に仕え続けた」

青葉「ちなみに、どんな流言を流したんですか?」

モ「『アーサー王に王の器などない、何しろ妻を奪われる始末―――』こんな感じだったか」

モ「王と当事者、そして一部の騎士たちだけが知っていたならばこの事実を隠すことができたかもしれん。しかしもう『王の妻が不倫し、王は妻を配下の騎士に奪われた』という噂が国内を駆け抜け王はランスロットとギネヴィアを罰しなくては行かなくなった」

モ「そんな中、仇敵モルガンの息子であるオレだけが変わらず忠実に仕え続けていた。さぞ気味の悪かったことだろうよ」

モ「そしてアーサー王はランスロットを討つべくフランスに渡ることとなり、その間の留守居役に俺が任命された」

青葉「えっと、王様はなんで仇敵モルガンの息子に敢えて留守居という重要な役目を任せたんでしょう?」

モ「他に居なかったからだ。確かにオレが自分は優秀と吹聴もしたが、現実問題として政務をこなすことができる騎士がオレ以外に居なかった」

モ「そうして王がフランスに渡った後オレはフランスでの戦いは長くなると読み、しばらく後に王が戦死したとの流言を流した」

モ「緊急会議を開き王位の継承を認めさせ、カンタベリで戴冠式を行って名前だけとはいえオレは王になった」

青葉「このまま上手く…は、行かないですよね…」

モ「当然だ。このことはフランスにいる王にも伝わり、急遽ランスロットと講和を結んでブリテンに戻ろうとした」

モ「アーサー王帰還の報はキャメロットにも届いた。が、オレに脅され、宥められ唆された連中はオレとともに反旗を翻した」

青葉「でも、なんで反旗を翻しちゃったんでしょう?最初にモードレッドさんの言うとおり、完璧だったのであればそんなことは起きないと思うのですが…」

モ「ああ、完璧だった。完璧であるがゆえに合理的に、冷徹に“必要とあらばどんなものでも切り捨てた”」

モ「故に、不満がたまっていた」

モ「『モードレッド様はアーサー王よりも随分と人間らしい』と彼らは言うが、愚かにも程がある。オレはオレのしたいようにやっただけだ」

モ「付き従う者のことなど露程も考えずに。すると不思議なことに『貴方は人の心が分かる』と言う」

モ「人を、国を救うためにすべてをなげうった王は人の心が分からないと蔑まれ。人の事も、付き従う者のことなど何も考えないオレは人の心が分かると褒め称えられた」

モ「まったく忌々しい。オレはオレのためだけに反逆した。恩知らずの奴等など知ったことか」

モ「緒戦では敗れ、上陸を許したもののランスロットとの戦いで疲れ切っていたガウェインを討ち取り、幾度かの戦闘を経てカムランの丘で最後の決戦に挑んだ」

モ「群がる雑魚を打ち払い、王の名を叫び再び群がる雑魚を叩き潰す」

モ「何度か繰り返したのちに数が減り、何度目かの叫びについに王が応じ、最後の一騎打ちが始まった」

モ「―――そして決着がつき、聖槍がオレの胸板を貫いた。オレの勝利だ、これで王が為した全ての事は台無しになったのだから」

モ「……他には何かあるか?」

青葉「は、はい。えっとですね、一度モードレッドさんの戦闘を見る機会があったのですが…剣をブン投げたりしていましたよね。剣は騎士の魂だと思うんですが…いいんですか?」

モ「馬鹿かお前。勝てばいいんだよ勝てば」

モ「剣など戦闘に於ける一つの選択肢にすぎん。勝つために必要なら、殴るし蹴るし、どんな方法でも使ってやるさ」

モ「……これで終わりか?」

青葉「はい!有難うございました」

モ「そうか、じゃあな」




青葉「モードレッドさん含め、円卓の方々の事情はかなり入り組んでいますね……正直、だれか止められる人はいなかったのかな、なんて思っちゃいます。では、次回の『突撃!青葉の英霊インタビュー』をお楽しみに!」
Mordred interview3