青葉「それはそうですね。何の準備もなく戦場に行くのはそれこそ命取りですし」

ジ「そういうことです。十六歳のころ親類に頼んでヴォークルールの城主であり、その地の守備隊長をしていたボードリクール伯にシノンの仮王宮に行くことの許可を願い出たんですがけんもほろろに断られて追い出されちゃったんです」

ジ「次の年の一月にもう一度ヴォードクルールに行ったときに二人の貴族と知り合いになりまして。その人の助けでもう一度ボードリクール伯に会うことができたのです」

青葉「ふむふむ」

ジ「ニシンの戦いでの敗北を私が言い当てたことにより仮王宮へ行くことが許可されて、ようやく王宮でシャルル七世と会うことができました」

青葉「手元の資料によりますとジャンヌさんの故郷であるドンレミ村からシノンに行くにはフランスが百年戦争で戦っていたブルゴーニュ公国が占領した土地を通らなくちゃいけないはずですが、何もなかったんですか?」

ジ「特段何もなかったです。念のため男装していましたし」

ジ「で、シャルル王に謁見しポワチエでの教理問答を経て寄付で私たちの装備一式を賄い、1429年にオルレアン防衛戦に参加することになりました」

青葉「えっと、先ほどニシンの戦いという言葉が出てきましたがどこで戦ったんでしょう?というかニシンって地名じゃなくて食べ物の方ですよね?」

ジ「ニシンの戦いというのは、フランス軍がイングランド軍の輸送部隊を攻撃した時の事ですね。輸送していた荷物のほとんどが塩漬けのニシンだったためこう呼ばれています」

青葉「ふむふむなるほど…」

青葉「では次の質問に行きたいと思います。ジャンヌさんと共に行動し、一時はフランス軍元帥にまで上り詰めるも、ジャンヌさんが処刑された後数多の少年を殺害し処刑されたジル・ド・レェ男爵についてお話を聞かせていただきますか?」

ジ「わかりました。具体的には?」

青葉「まずは……そうですね、お二人はどこで出会ったのですか?」

ジ「私とジルが出会ったのはシャルル七世に会うためにシノン城に行った時です。ジルもまた兵を率いて各地を転戦していて、そのときはたまたま居合わせただけのようでしたが」

青葉「その後は二人一緒に行動したのですか?」

ジ「そうですね。どちらかというと私がついて行ったのですが」

青葉「ふむふむ…その後は二人ともオルレアン解放戦に参加したのですね。他には…そうですね、ランスでのシャルル七世の戴冠式についてお話を聞かせていただけますか?」

ジ「はい。ランスは498年にメロヴィング朝のクロヴィス一世が即位して以来、フランス王家は必ずそこで即位式を行っていました。しかし百年戦争でイングランドに制圧されてからそこで即位式を行うことができなくなっていました」

ジ「シャルル六世が亡くなったのちに実質的な王位はシャルル七世にわたっていたものの、ランスにて即位することができなく対外的にはこの時フランスに王がいなかったのです」

青葉「ふむふむ」

ジ「私たちはオルレアン攻防戦にて無事にオルレアンを解放することに成功し、そのまま勢いに乗ってイングランド軍を追撃、ランスを解放することに成功しました。ええ―――あの時のことは今でも昨日の事のように思い出すことができます」

ジ「湧き上がる歓声、荘厳な聖堂。シャルル七世が額に聖油を受け戴冠式が成立しました」

ジ「おそらく、この時が私の人生の中での絶頂期だったのでしょう」

青葉「この後にコンピエーニュの戦いへとつながっていくわけですね……」

青葉「ではですね、歴史から外れた質問になるのですが。ジャンヌさん……見た目より食事量がかなり多く見えるんですが、どうでしょう?」



Joan of Arc interview2