ア「うん。わたしたちはおかあさんのおなかの中に帰りたかっただけだもの、なんでそんなことしなくちゃいけないの?」
青葉「…確かに、それはそうですね。じゃああれは別の誰かが勝手に名乗ったんでしょうか」
ア「だいたい、『ジャック・ザ・リッパー』なんてわたしたちは名乗っていないよ?みんながかってにそう呼んだだけ」
青葉「そうなんですか?」
ア「あれ?―――あ、もうわすれちゃってたんだね」
ア「わたしたちに『名前』はないの。だって、つけてくれる人なんていなかったから」
青葉「えっと。理由を聞いても?」
ア「理由?わたしたちは生まれていないもの。どうやって名前をつけるの?」
青葉「そ、それは…。ん?あの、『生まれてない』ってどういうことでしょう?」
ア「どういうことってそのままだよ?わたしたちはうまれる前に死んじゃったの」
青葉「生まれる前に死んだ…?死産か中絶……いえ、時代背景をみるとおそらくは中絶したのでしょうか」
ア「うん、だから医者は大きらい。だから『犯人は医者だ』っていわれてたときはうれしかったな」
青葉「やはり中絶ですか…」
ア「わたしたちはただ『生まれたかった』だけなのに。医者はわたしたちをたくさんころしたの」
青葉「そうなんですか…。その、じゃあなんで女の人を殺したんですか?」
青葉「そこまでお医者さんが嫌いならお医者さんを狙うものだと思うんですが、どうなんでしょう?」
ア「わたしたちは医者を殺すことがしたかったわけじゃないもの」
ア「わたしたちはおかあさんのおなかの中に帰りたかったの。だから、探しに行ったらものすごく嫌われて追い出されたの」
青葉「だから、殺したんですか…?」
ア「うん」
青葉「……やっぱり、私には理解しがたいです。では、次の質問に行きますね」
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