エミヤ「あったかもしれない世界。続いたかもしれない未来のことだ」
エミヤ「例えば、君が昼食にパンかおにぎりのどちらかにするか悩んでるとしよう。結局、君はパンを食べることにした。だが、もしおにぎりを食べたとしたら」
エミヤ「その『もし』が並行世界だ」
青葉「そんなに簡単に分かれる物なんですか?」
エミヤ「簡単に分かれる物だ。『あったかもしれない可能性』こそが並行世界なのだから」
青葉「なるほど、では次に。『守護者』というのも耳慣れない言葉です。アーチャーさんも似たようなことを言ってた気がしますが……そもそも守護者って何なんでしょう?」
エミヤ「霊長の守護者。『人類という種を守る』ためだけに存在する道具だ」
青葉「道具?」
エミヤ「この世界には『ガイア』と『アラヤ』の二種類の抑止力が存在する。ともにこの世界を存続させようとするために動く力だが、性格は少し異なる」
エミヤ「『アラヤ』は人間の無意識化の集合体からなるとされているもので、人が持つ世界存続願望が形になったものと考えればいいだろう」
エミヤ「対して『ガイア』はこの星が持つ本能、星が持つ生命延長の祈りのことだ」
エミヤ「この二つの抑止力に『あらかじめ』というものは無い。あくまで『世界を滅ぼす要因』が現れた瞬間にのみあらわれ、その対象を抹消する」
エミヤ「故にカウンターガーディアンとも言われ、どんな相手であっても、必ず勝利できる力を以て出現することになる」
青葉「なるほど。では、守護者というのはその何れかに関わるものなんですね?」
エミヤ「そういうことだ。守護者とは、「人類の自滅」が起きるときに現界し、「その場にいるすべての人間を殺戮しつくす」ことで人類すべての破滅という結果を回避させる最終安全装置であり、自由意志などなく、世界を守るためだけに世界から使役される『抑止力の代行者』」
エミヤ「故に道具だ。『あらかじめ』危機回避させるということはできず、小数を殺戮することで多数を守る掃除屋でしかない」
青葉「ま、待ってください!『その場にいるすべての人間を殺戮しつくす』とはどういうことですか!?人を守るための物じゃ…そもそも、何の関係もない一般人だっている筈ですよ!?」
エミヤ「世界にとって、そいつが犯人か一般人かなど関係ないさ。あくまで、『滅亡要因を周囲ごと排除するためのモノ』でしかない。そいつが死ぬことで世界が守られるなら問題ではないんだ」
青葉「理解はしましたが、納得はしたくないです…」
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