青葉「なるほどなるほど…」
青葉「では次に行きたいと思います。デオンさんが所属していたスパイ機関スクレ・ドゥ・ロワについて教えてもらえませんか?」
デオン「フランス王ルイ十五世が創設し、王様の元で活動した『王の秘密機関』さ。主な活動としては欧州各国の情勢や情報の監視及び収集だね。元々ブルボン朝ではスパイ機関はあったけれど統一されたものじゃなかった」
青葉「どういう意味ですか?」
デオン「つまり、国家としておかれたのではなく各王様が自分で作ったのさ。スクレ・ドゥ・ロワも当時の王様であるルイ十五世が設置した私的なスパイ機関なんだ」
青葉「なるほど…何で作ったか、というか何かきっかけがあって作ったのですか?」
デオン「当時のフランスは次期ポーランド王位をめぐってロシアと対立していたんだ。そしてフランスはできれば次期ポーランド王を自分の国から出したかった。そうすればポーランド国内における自国の影響力は計り知れないものになるからね」
デオン「当然ロシアも似たような考えだった。更にイギリスよりの官僚によってフランス大使が追放されてしまって交渉もできなくなったんだ。念のため人を送ってみたけれど逮捕されてしまってね、秘密交渉に頼るほか無くなったんだよ」
デオン「きっかけといえばこれがきっかけだろうね。まあ、さっきも話したロシアとの交渉がうまくいったことで回りまわって『外交革命』が起きたのも、その結果としてマリー様がフランスに嫁ぎに来たのも、歴史の妙といえるだろう」
青葉「その後はどうなったんですか?」
デオン「七年戦争の際の情報収集と戦後処理、かな。それと並行してイギリス南部沿岸地域の軍備を中心とする情報収集だね」
デオン「ルイ十五世が亡くなった後は解体されてしまうけれど、構成員は次のスパイ機関に所属してアメリカ独立戦争をめぐる外交工作で活躍することになる。こんな所かな?」
青葉「有難うございます。では、こちらが最後の質問になります!」
青葉「デオンさんはロベスピエールさんと剣を交えたことがありましたよね?決闘の結果を教えてください!」
デオン「内緒だよ」
青葉「そんなー!」
デオン「あまり言いふらすことでもないからね。あの決闘の結果は当事者たちのみが知ることだよ」
青葉「そこをなんとか!」
デオン「残念だけど駄目だよ。さて、これで終わりかな?」
青葉「はい。長々とお時間をいただき、ありがとうございました!」
デオン「マスターからのお願いだし、気にしなくてもいいよ。それじゃあさようなら」
青葉「可憐な百合の騎士、というよりどろどろとした各国の思惑の中で活躍するスパイとしてのデオンさんは普段見ている姿とはまた別のものを感じさせますね」
青葉「さて!次回は悪竜タラスクを調伏させたキリスト教の聖人、マルタさんにお話を伺いたいと思います!次回の『突撃!青葉の英霊インタビュー/EXTRA』、お楽しみに!」
Chevalier dEon interview3