青葉「そうですか…。では、次に行きましょうか」
青葉「えー、とある筋からの情報によるとランサーの他にキャスターもイケるそうですが、他にも適合するクラスはありますか?」
犬「とある筋って誰だよ」
青葉「それは内緒ということで一つ」
犬「まあいい。他のクラスだとセイバー、ライダー、バーサーカー辺りは適性があるぜ」
青葉「ふわぁ、芸達者なんですねぇ」
犬「俺もいろいろ使ったからな。ま、今はこれしかねえが十分だ」
青葉「でしょうねえ。今のクーフーリンさんとまともに戦える人なんてどれくらいいるのやら…」
犬「はん、どんな相手が来ても倒すだけよ」
青葉「それが冗談でも誇張でもないところが恐ろしいです…」
青葉「では次の質問になりますが、かつてクーフーリンさんが所属していた『赤枝の騎士団』について教えてください」
犬「ま、それこそあの高潔な騎士王様にしてみれば騎士ではないというだろうがな」
犬「不忠さえなければ好きに戦って良く、気が向けば他所の領地にケンカ売ってその夜にはすっかり忘れて宴を開いたりしたもんだ。外よりも騎士団の中のほうが油断ならねえような愉快な場所だった」
青葉「恐ろしい場所ですね…」
犬「ああ、成人していない戦死見習いが入る『幼年組』っていうのもあってな、俺も昔所属していた」
青葉「なるほど…。では最後の質問になりますが、クーフーリンさんの人生の中で最も大変だった戦いを教えてください」
犬「大変だった戦いねぇ…。俺のいたアルスターの隣国のコノートっていう国は代々女王が実権を握っていてな」
犬「当時の女王メイヴはこれまた戦争好きで負けず嫌いの女だったのさ。で、まあいろいろあってアルスターに攻めてきたんだが…、ちょっとした呪いがかかっていてな、アルスター軍は戦える状態じゃなかったのさ」
青葉「ちょっとした呪い…ですか?」
犬「おう。有事の際にアルスターの男は衰弱しちまって戦えなくなるって呪いだ」
青葉「なんですかそれ!?っていうか、もうそれ軍隊の体を為していませんよね!?」
青葉「よくそんな状態で国を維持できましたね。青葉、驚きです…」
犬「ま、俺は正確には妖精塚生まれであってアルスター生まれじゃない。だから呪いを受けなかったのさ」
犬「後は分かるだろ?コノート軍を毎日毎日殺しまわって、相手が音を挙げたところで交渉したんだよ。要は一対一の決闘だ」
犬「俺はアルスター峡谷の川瀬で一騎打ちをし、一騎打ちをしている間は軍を進めていいってな。一日五千人殺されるか、一人の被害で済ませて多少軍を進めるか」
青葉「で、メイヴさんは了承したんですか?」
犬「舌打ちしながらな」
青葉「でもクーフーリンさんが一騎打ちで負けることは無いでしょうし、そこで足止めされちゃったんですかね」
犬「いや、メイヴは条約を破って進軍したぜ。でもまあ、結果的には最良の足止めだっただろうよ」
犬「で、問題はオレの方でな。おかしな戦女神の妨害、死なすには惜しい戦士、二十八人の怪物とまあ本気でやばくて、情けねえことに疲労で丸一日寝ちまったこともあった」
犬「で、さっき話した幼年組なんだが…。クーフーリンを助けるんだ!なんていって団結して挑んじまって、逆にメイヴに皆殺しにされたのも、俺のヘマと言えるだろうよ」
青葉「…その一騎打ちが行われた川瀬は、クーフーリンさんにとっても死地だったんですね」
犬「おうさ。結局その戦いはアルスター軍が衰弱から立ち直り、コノート軍に大打撃を与えたことでアルスターが勝って終わる。ま、こんなもんかね」
青葉「―――有難うございました。いや、おみそれしました」
犬「礼の代わりにマスターに酒でも預けといてくれ。じゃあな」
青葉「今回はケルト神話における大英雄クーフーリンさんにお話を伺いましたが、壮絶ですね。特にアルスターの話を聞くと、クーフーリンさんが居なかったらあっさり滅ぼされていたんじゃないでしょうか」
青葉「クーフーリンさんの二つ名に『アルスターの盾』というのがありますが、名は体を表す、というか…。私たち艦娘もいつかあの境地にまで到達する人が現れるのでしょうか。では、次回が最終回になります!『突撃!青葉の英霊インタビュー』をお楽しみに!」
Cú Chulainn interview3