「…！お前は誰だ！僕を此処に連れてきたのはお前か！？」

???「○○…お前を連れてきたのはオレだ」

「質問に答えろ！お前は何者だ！」

???「クク…俺はお前だよ。俺はお前でお前は俺だ」
???「本来ならオレが出張ることは無いんだが…ククク、お前、なかなか面白い奴等とつるんでるよなぁ？」
???「竜殺しやらステゴロ馬鹿ならまだしも、あのバカなヴァルキリーまでいると来た。これが笑わずにいられるか！」

「馬鹿、だと？」

???「居たんだよなァ、昔。ニンゲンの男に入れ込み過ぎて一大悲劇をやらかした馬鹿なヴァルキリーがよ」
???「あの時の父親(オーディン)の顔をお前に見せたかったぜ、ハハハ…」
???「何より笑えるのが、そいつはまた同じことを繰り返そうとしていることだ。そいつが望む望まないにかかわらずなァ」

「……を……するな……」


「ランサーを、バカにするな……！」

「確かに彼女の結末はそうなった！だが、彼女本人はそう望んだわけではない！ただ、愛する者と添い遂げたかっただけじゃないか！ただ、巡り合わせが悪かったじゃないか！」
「それの何が悪い！いったい誰がその気持ちを笑える！？」

???「お前だよ」

「なんだと！？」

???「言ったろ、俺はお前でお前は俺だと」
???「確かにお前の言葉は本心だろう。だが、オレの言葉もまたお前の本心だ」

???「さらけ出しちまえよ、兄弟。その薄暗い本性を」

「やめろ…僕は、彼女のことをそんな風に思ったことは一度もない…！」

???「思ったことは無いのか？自分もまた、勝手な愛に巻き込まれた挙句に殺されるのではないのかと」
???「その独りよがりな愛に焼き殺されるのではないのかと」

???「所詮―――「やめろッ！」

「彼女は僕の大切なパートナーだ！そんなこと考える筈がないだろう！」

???「なぜ否定する、兄弟？」
???「あいつがどう動くかわからないから縛っているんだろ？分からなくて怖いから枷をしているんだろう、令呪という名の枷を」
???「ほら。根本的に信用などしていないではないか？これで大切なパートナーとはな、ハハハ……笑っちまうぜ、本当によ」

「そ…そんなことは……」

???「……チッ、時間切れか」

「言いたいだけ言っておいて逃げる気か！？」

???「安心しな、兄弟。また会いに来てやるさ」
???「忘れるなよ兄妹。『俺はお前』で『お前は俺』だ。オレの言葉もお前の本心なんだ」

???「そのこと、努々忘れるんじゃねえぞ？」

(その声を最後に意識が遠くなっていった……)


→