青葉「えー、アタランテさんは自分との結婚を望む若者に対し一つの条件を提示しました。それは『自分より足が速い男と結婚する』というものですが…。そも、なぜこのような事態になってしまったんですか?」

ふん。私の両親は私が女だとわかるとすぐに山に捨てたが、私が有名になってくると手のひらを返したように私を連れ戻し、婿を取らせようとしたのだ

私の婿になるということはアルカディアの次の王になるということでもある。結果欲に目がくらんだ男どもが次々と群がってくることになったのだ

青葉(他にも原因がありそうなものですが…)

そんな男と結婚などしたくもない。だから条件を示し、見事こなすことができればその男と結婚することにしたのだ

青葉「ああ、納得できました。ちなみに失敗したらどうなるんですか?」

命を貰う

青葉「え?」

そのままの意味だ。要は私と徒競走して勝てば結婚する。負ければその場で殺す、ということだ

青葉「それはよーいドンで走り始めたんですか?」

違う。男を先に走らせ、中程まで走ったところで完全武装した私が追い、追いついた時点で射殺した

青葉「途中で挽回することもできないんですねぇ…。で、そんな中成功した人が現れた、と」

青葉「ぶっちゃけ、何でリンゴを拾っちゃったんですか?」

……なんというか、ものすごく魅力的だったのだ。女神が手助けしたからかもしれんがものすごく欲しくなってな、取らずにはいられなかったんだ

青葉「で、結局負けてしまったと」

そういうことになるな

青葉「うーん。そこまで結婚するのが嫌だったのなら勝負を放棄して逃げる、というのはしなかったんですか?」

それはできない。どのような方法であれこちらが課した試練を乗り越えたのだ

ならばこちらも条件を履行しなければならん

青葉「有難うございます。それじゃ、これで最後の質問です」

何だ?

青葉「――マスターさんのこと、どう思ってるんですか?」

…質問の意味が理解しかねる

青葉「決まってるじゃないですかー。好きか嫌いか、ってことですよ」

現代の魔術師としてはかなり優秀だし、人柄も悪くない。『マスター』としては十分な力を持っているし、当然信頼もしている

これでいいか?

青葉「そういうことじゃないですよ。『男性として』どうか、と聞いているんです」

なんだと?

青葉「いいじゃないですか。これは記録に残しませんし、当然マスターさんにもお伝えしません。なんならこの首を掛けてもいいんですよ?」

チッ、まあいい

私は――――――




Αταλάντη συνέντευξη3